君と出会うために(初)
爽やかな風の中、一人の少年が学校に続く桜並木を歩いている・・・
そっと外した眼鏡の中からは、美しい瞳が微笑んでいる。
その少年の本当の姿を見た人は、この学校には誰もいない。
カツン・・・カツン・・・
靴の音がした。
遠くから聞こえる靴の音に敏感に反応し、少年はすばやく眼鏡をかけなおした。
少年は、その場を後にした。
その少年・・・坂城 由良 と言う。
爽やかな風の中、一人の少年が学校に続く桜並木を走っている・・・
さっとかきあげた髪からは、鋭い瞳が遠くを睨んでいる。
その少年の姿を知らない人は、いないだろう。
チラッ・・・
人の影が見えた。
遠くから見える人の影に誘われながら、少年はすばやく近づいた。
少年は、見失った。
その少年・・・水無月 凪 と言う。
この2人は、離れていても必ず巡り合う運命にある。
一人が姿を偽っていても、もう一人が傷つけてしまって離れたとしても
「運命」の名のもとに再び出会うことになるだろう。
そう・・・「運命」の名のもとに。