11話


 

 

ここ…どこだろう…。

視界一面、すべてが闇で広がっていた。

俺…どうしたんだっけ?何かあったような気がするんだけど、思い出せないんだよなぁ…。

それに俺、何でここにいるんだ?ってゆーか、ここ。どこ?

目の前に広がる闇は、俺を覆っているようだ。上も下も右も左も全く分からない。

 

何か…寒くなってきた。

このまま寝たら駄目かな?

寝ても…いいよな…?

もう眠くて眠くて…。

瞼が閉じそう…。

 

狭山に、会いたいな……。

もう…会えない……?

 

少しずつ身体の力が抜けていき、俺は瞼を閉じた。

 

 

「玲二。」

大声出すなよ…。煩いなぁ…。

「目を覚ませ。」

何なんだよ…。

「れいじ。」

もういいって。

「起きろ。」

眠いんだよ、邪魔すんな。

「おい。」

あ―――もう!

 

次に目を開けたとき、視界は一気に真っ白になっていた。

今度はどこだよ?真っ黒だったり真っ白だったり…。

「玲二、目を覚ませよ。」

さっき寝ているときに聞こえていた声が、耳のすぐそばで聞こえた。簡単に動かすことの出来ない首を、ゆっくりと右の方に廻した。

狭山が俺の手を両手で掴んで、その上に額を置いて搾り出すような声を出していた。

「………うる…、さい。」

思ったよりも喉が痛くて、掠れるような声しか出なかった。それでも額を手において下を向いている狭山の耳には届いたんだろう。

「玲二?」

さっきより大きい声が耳を突き抜けた。ちょっと頭に響く…。狭山は珍しくビックリした顔で、俺の顔をまじまじと見ている。

「だか…ら、うるさ…いっ…て……。」

「れい…じ…。」

「お前…変、な…顔。」

いつもの無口無表情でクールな狭山とかけ離れた表情だ。

「死んだら…どうしようかと思った。」

「お前を、置いて……死ねな、い。」

情けない狭山が珍しくて、クスクスと笑ってしまった。

 

「んっ……。」

笑っている俺の口を狭山はキスで塞いだ。すぐに離れてしまうような触れるだけのキスだったけれど、冷たかった唇に狭山の温もりが伝わった。

「俺のそばにいるって言ったのに、先に死ぬなんて許さない。俺から離れたら、どこまでも追いつづけてやる。」

すごい殺し文句。こんなこと言われたら普通怖いけど、喜んでしまっている俺って……。

「じょう…とう…、じゃん。」

もしかして、マゾ…??否定できない…かも…。

 

チラッと狭山の顔を見ると、さっきまでの心配顔は何処へ行ったのか、ニヤリと意地悪い笑みを浮かべている。俺も狭山の真似をして、ニヤリと笑みを浮かべてみた。

2人だけの、秘密の共犯者の笑みだった。

 

 

Happy End

 最後までお付き合いありがとうございましたv

 

 

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