−強く儚い者たち−
<エピローグ>
「本当に、良いんだ?」
潤一郎の言葉に、ゆっくりと頷く充弘。
「潤一郎が好きだから…。……………抱いて。」
潤一郎は充弘の細い身体を抱きしめて、今の状況を実感した。
一生受け入れられないと思われていた思い。
いつからか俺は、充弘のことを親友を超えて、それ以上の気持ちで思っていた。
永遠に黙ってようと決めていた気持ちを、充弘は知っていただろうか?
『……好き。』
充弘のその言葉を聞いて、同じ思いをしていたと初めて分かった。
その言葉を聞いてから退院までの一週間、とてつもなく長く感じた。
大好きな充弘を、この手で抱きたかった。
充弘の白い肌に、真っ赤な印を付けたかった。
充弘と恋人同士だと、確信したかった。
そしてついに、潤一郎はこの時を迎えた。
潤一郎の部屋で、二人はお互いの愛を確かめ合おうとしていた。
.。・:*:・`☆、。・
抱き合ったまま、ベットに倒れこむ潤一郎と充弘。
潤一郎は充弘を抱きしめたまま、充弘の赤く膨らんだ唇へと口づけをする。
軽くついばむようなキスを何度も繰り返した。
少し開いた充弘の口に、潤一郎はそっと舌を忍び込ます。
恐る恐る潤一郎の舌に絡み付いてくる充弘の舌。
だんだんと口づけは激しいものへと変わっていった。
お互いの唾液が混じりあい、潤一郎の下にいる充弘に唾液が流れ落ちる。
「……っん。」
息苦しくなる充弘の口から、潤一郎を喜ばす声が発せられた。
充弘は自分の声とは思えない声に恥ずかしくなって、顔を真っ赤にする。
潤一郎の唇は充弘の唇から離れ、吸い付くようにゆっくりと充弘の身体に降りてゆく。
顎から首筋へ、そして鎖骨の上に潤一郎の唇がくると、そこで止まった。
強く、強く吸って、充弘の身体に印を付ける。
いくつも消えないくらいの印を残す。
「みっちゃん……もう二度と他の奴には触らせない。」
潤一郎の手は、充弘の太腿へと伸びていた。
充弘の中心の周りを、ゆっくりと撫で上げる。
そして、中心へと手を動かしていった。
ズボンの上から触るだけでも、充弘のものがすでに大きくなっているのが分かる。
ゆっくりとジッパーを下ろす音が、生々しい。
充弘は緊張のあまり逃げ出だそうとして腰を引いたが、潤一郎がズボンを降ろす手助けにしかならなかった。
潤一郎は充弘のものを、優しく手のひらで包み込んだ。
潤一郎が手を上下に動かすたびに、だんだんと充弘のものは張り詰めていく。
「あ……はぁっ………」
充弘の息が荒くなっていくのを聞いて、潤一郎は俺に感じているんだと嬉しくなった。
充弘のものの先端からは、白く光った液体がタラタラと流れ落ちている。
「いやぁ……、んっ……じゅ…ちろぉ……」
途切れ途切れに聞こえてくる充弘の艶っぽい声。
潤一郎はその声を聞くだけで、自分の中心がドクンドクンと波打っていた。
「もっと、みっちゃんの声を聞かして?」
真っ赤になって必死に声を抑えようとする充弘を、潤一郎は上目遣いで見ながら充弘のものを口に含んだ。
充弘はその光景を目にすると、恥ずかしさのあまり潤一郎の髪の毛を必死で掴む。
まとわりつくような舌。
根元から先端まで丁寧に舐められて、充弘は声を抑えることを忘れていた。
「やっ…あっ…、やめ……汚ぃ………んんっ、んあぁ………」
潤一郎の口にだけは出すまいと耐えている充弘を促すかのように、潤一郎はきつくきつく充弘のものを根元から吸い上げた。
その刺激によって、充弘の身体は震えあがった。
充弘のものから潤一郎の口めがけて、勢いよく熱い液体を放っていた。
潤一郎の口に放ってしまって、充弘は呆然としていた。
すべて飲み干した潤一郎は、どこから持ち出したのか手に潤滑剤をねっとりとつけた。
充弘の堅く閉ざされた、まだ何者にも侵入されていない場所に、潤一郎はゆっくりと一本の指を押し込んでいく。
「……………っ!」
充弘は恥ずかしさのあまり声を出す事も出来なかった。
反射的に力を入れて潤一郎の指を外に出そうとするが、潤一郎はそれに逆らって、奥へ奥へと侵入していく。
「じゅんち……ろ……、苦し……抜い、て……」
潤一郎はもう片方の手を前に回して、充弘のものを掴んだ。
充弘には後ろを指で貫かれる痛さよりも、快感という刺激を与えられる前の方が強かった。
その間にも潤一郎の指は、充弘のどんどんと奥へと進んでいく。
潤滑剤のおかげで、指の動きがスムーズに動く。
「みっちゃん…、全部、入ったよ?」
潤一郎は指を入れたまま、動こうとしなかった。
充弘は身体が圧迫されるような気分で、何度も大きく息継ぎをする。
充弘の息が整ってきたところで、潤一郎は指を上下に動かした。
指の数を2本へと増やし、また慣らし…3本へと増やす。
「んんっ………」
苦しそうな声を漏らす充弘を思って、潤一郎は手を止めて指を抜こうとする。
それを感じ取った充弘は、首を横に振った。
「やっ……駄目……、止め、ない……で。」
充弘の内側と潤一郎の指が一点を擦れた瞬間だった。
充弘の身体が震え上がる。
「んあぁっ………」
「ここ?感じるんだ…?」
潤一郎はもう一度、同じところを指で擦った。
「ゃあっ……、んん、あっ……じゅ…ちろぉ……」
充弘は今まで感じたことのない快感を感じていた。
好きな人、潤一郎によって沸き起こる快感。
充弘は潤一郎の手のひらに、2度目の精を放っていた。
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充弘が精を放って幾秒も立たないうちに、潤一郎は充弘の蕾から指を抜いて己の熱くなったものを入り口にあてがった。
「入れるよ……?」
充弘は頭で強く頷いた。
潤一郎は、ゆっくりと充弘の身体に負担がかからないように、挿入し始めた。
潤一郎は強張った充弘の身体中にキスを浴びせて、充弘の力を抜こうとする。
「みっちゃん……もうちょっと我慢して……。」
充弘の中がきつくて、潤一郎の眉間にしわが寄る。
何度も何度も途中で止まりながら、潤一郎は充弘の身体を気にかける。
自分の理性を、ギリギリのところで繋ぎとめながら…。
「あっ……はっ……、ん…はぁ……」
充弘は自分の身体の中に、さきほどの指とは比べものにならないぐらいの圧迫感を感じていた。
少しでも力を入れると、潤一郎のものの大きさが分かってしまい、力を抜くと潤一郎のものがもっと奥へと入り込んでくる。
充弘はそんな中で、痛みとは違う別の感覚を感じ始めていた。
潤一郎のものが全部入ったとき、充弘は苦しさよりも幸せで満ちていた。
潤一郎と一つになれて、充弘の中で初めて潤一郎と恋人同士になれた気がした。
潤一郎は無理に自分の合わせてくれてるんじゃないか…そう思っていた。
けれど……今、僕を抱いている潤一郎の顔を見ると、そんな疑った気持ちは消え去った。
その顔は……嬉しそうだったから………。
「じゅんいちろ……大丈夫、だから。動いても………」
何もしないで、ジッと充弘が慣れるのを待っていた潤一郎は、充弘の顔を見つめた。
目には薄らと涙が浮かんでいる充弘は、誘っているようにも見える。
潤一郎は自分の中の理性が切れる音が聞こえた気がした。
「んんぅ……、ん…?じゅ…いちろ…?何か…僕、変……。」
潤一郎のものが充弘の一番奥を突くたびに、充弘は今までにない快感を得ていた。
何も触れられていない充弘のものが、上に向って張り詰めている。
充弘のものからは、半透明の液体がいっぱいになって溢れ出してくる。
「みっちゃん…感じてるんだ…?」
耳元で囁く潤一郎の声にまで、身体を震わす充弘。
潤一郎は徐々に腰の動きを早くしていった。
何度も揺さぶられる充弘は、自分でも抑えきれない喘ぐような声を出してしまう。
「やっ……あっ…、んああっ……」
充弘の声を聞いて、潤一郎のものは大きさを増した。
潤一郎も、もう限界だった。
「やあぁぁぁぁ―――。」
「うっ……。」
二人同時に放っていた。
そのまま抱き合いながら、ベットに身体を休めた。
お互いの体温を感じ取りながら…。
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「潤一郎、僕の名前を呼んで……。僕に聞こえるように…。何度も、何度も、言って……。
僕が僕でいられるように…。」
潤一郎はきつく充弘を抱きしめながら、何度も充弘の名前を呼んだ。
充弘は潤一郎の胸に顔をつけて、涙を流した。
「みっちゃん、笑って?……涙は悲しいときにいっぱい泣いたから、俺がいるときは笑っていて欲しい。
みっちゃんの笑った顔が好きだから。」
涙を浮かべながらも充弘は、潤一郎の顔を見てありったけの笑顔を浮かべた。
本当に幸せそうな笑顔だった。
三年間滞っていた充弘の笑顔は、潤一郎によって元に戻った。
けれど、これからが大変なのだ。
それは……………、充弘の笑顔がとても綺麗だったから………。
潤一郎にだけ向けられる笑顔だけど、誰かが見たら一発で惚れるくらいの笑顔だったから。
−END−
最後まで読んで頂いて、ありがとうございましたvv
ユエ的には、このお話…辛かった(T▽T)
書いている間に、何度も鼻をすすった覚えが…
(自分の書いた作品で泣くなよぅ/苦笑)
充弘には潤一郎、潤一郎には充弘が必要なのvv
大切な人がいるって、とても羨ましい。
これからも、ゆっくりと愛を育んでいって欲しいな。
2001/12/07 艶華 ユエ