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「寂しいんだ。抱いて…寝て欲しい。」
布施さんに振られて傷ついてる心を、一之なら癒してくれるかも知れない。利用していると言われてもいい、それでも今は人肌が恋しい。
「そんな泣きそうな声で言わないでください。俺でよければ、亨さんの好きな人の代わりには役不足かも知れませんけど。」
私はハッとなって、一之の顔を見上げた。
「ど、う…して?」
「さっき飲んでいるとき、亨さんが言ったんですよ。」
「覚えてない。」
「かなり飲んでいましたからね。」
いつの間に、そんなことを言ってしまったんだろう。きっと一之を傷つけているだろうけど…それでも私は、誰かの温もりが欲しかった。
私は一之の服をギュッと握った。
「ベッドに…行きますか?」
「…うん。」
「しっかり俺に捕まっててくださいね。」
「えっ?わっ、ちょっ……。」
軽々と身体をお姫さま抱っこされて、一之は隣りのベッドのある部屋に入っていった。本当のお姫さまのようにゆっくりとベッドに降ろされて、髪の毛をかきあげられて額にキスをされる。
ちゅっと音を立てて離れた唇は、そのまま私の唇の上で止まりいきなりきつく吸い上げた。
「んんっ…、んっ、んあっ…。」
甘い刺激は、今の私にとても心地よかった。一之の唇がちゅっと鳴って離れていき、まだ離れて欲しくなくて「あっ。」と声をあげてしまった。
「クスクス…亨さん、もっと欲しいですか?」
「うん…。欲しい…。」
「素直ですね。そういう亨さんも可愛らしいです。」
一之は小さく笑いながら、唇からだんだんと下に、ゆっくりと舌を滑らせて言った。吐く息が当たって、少し身体が震えてしまう。少し手荒にシャツを脱がしていく。
「キスマーク、付けてもいいですか?」
「……うっ…ん……。」
恥ずかしいから、いちいち聞かないで欲しいんだけど。
時折きつく吸って赤い斑点を残しながら、一之の唇は胸に乗っているすでに硬くなってしまった乳首の上に到達した。唇に吸い込まれていった乳首は、口の中でコロコロと転がされている。空いていたもう一つの乳首は手で摘まれて、潰されたり引っ張られたりされる。
空いている片方の手が私のベルトにかけられた。いとも簡単にベルトを外しズボンと下着を一気に落とすと、一之は私の横たわっている体の上に跨ってジッと見てくる。
「そんな風に…見ない、で…。」
一之の真剣な眼差しに、一気に身体中が熱くなる。私の上に跨ったまま、一之は自分の着ている服を早急に脱いだ。下着を下ろすと一之の分身はすでに張り詰めていた。
他人に未練タラタラの私をここまで求めているかと思うと、胸が高鳴った。
「もう、途中で止めれないですよ?」
「………来て。」
一之は腰のラインを撫でながら、私の分身をむさぼるように口の中に含んだ。
「はぁっ……あぁ…。」
きつく吸い上げたと思ったらゆっくりと竿をなぞるように舐めて、私の快感を煽ってくる。何度もそれを繰り返されて、私は我慢できなくて一之の口の中に果ててしまった。すべて飲み込んでまだ残っているのを吸い取るように、私の分身の先端を舐めた。
「ひやぁ……は……あっ…。」
やっと一之の口が離れて肩で息をしていると、突然身体をうつぶせして膝を立たせた。
こ…この格好は……恥ずかしい。
一之に恥ずかしい部分をさらけ出してしまって、私は枕に顔を埋め隠して真っ赤になっているのを見られないようにした。なかなか触れてこなくて、太腿が小刻みに震える。
「はや……くっ……。」
言葉に出すと同時に、一之は蕾を舌で舐めあげた。周りをピチャピチャと舐めながら、その間に何度か舌を丸めて蕾に入れたり出したりを繰り返す。唾液が舌から蕾の中へと注ぎこまれていく。
「あ……あ……。」
十分すぎるほどの唾液を注ぎこんだ後、一之は唾液で濡らした指をぷつりと埋め込んできた。中に入れた指は何かを探るように折り曲げたとき、私は久々に快感を味わった。
「あっ……ひぁあ―――っ。」
以前に付き合っていた人と別れてから、誰ともしなかった。遊びで付き合うなんて、私には出来なかった。それなのに…どうして一之に抱いて欲しいなんて思ったんだろう。布施さんを忘れるためだけ…?それだけのために、一之を利用した?
自分で思った事に、胸が痛くなった。
快感に酔っている間に一本の指が二本に増え、それをバラバラにかき回されると指の先まで快感が染み渡る。
「はっ……あ、……もっ………。」
「どうして欲しいんですか?」
「もっ……入れて……おねが…ぃ……。」
しばらく蕾の中で掻き回っていた指が抜けて、熱く太いものが蕾の先に触れた。蕾の入り口を押し広げながら、一之の分身は中へと進入を開始した。引き裂かれるような痛みを感じながらも、私は必死に息を整えて一之の分身を受け入れた。
「あっ、あ……ああっ。」
一之が引くと腰が引きずれるように持っていかれながらも、腰を動かしつづけた。両手を一之の背に廻して、しがみついた。
「うぅ……かず…ゆ…き……、あっ。」
「亨さん……。いいですか?」
一之の問いに答えるように何度も頷いた。
「い……いぃ……、う…ん………。」
つぼみの中に入っている一之の分身が一回り大きくなった。腰の動きがだんだん早くなっていく。
「あっ、あっ、あぁっ、ああぁぁあ――――。」
熱い熱を吐き出したとき蕾をきつく締め付けてしまい、一之の熱も私の中へと解き放っていた。
その後も一之は私の言ったことを守って、抱きしめて朝まで一緒に寝てくれた。私は久しぶりにぐっすりと眠る事が出来て、目覚めが良かった。一之はまだ寝ていて規則正しい呼吸をしている。
しばらく一之の寝顔に見入っていると、一之の瞼が動いて何度か瞬きをした後、私の方を向いた。
「おはよ…ございます……。」
一之はまだ少し寝ぼけたようすで、私に微笑んでくれた。
「ありがとう。」
「………ん?」
「昨日、抱きしめてくれて、ありがとう。」
一之はさっきよりはっきりした声で答えた。
「そんなこと言わないで下さい。俺は…亨さんが好きで、徹さんの弱みに付け込んだんですから。」
「それでも……嬉しかった。」
そばにある温もりが離れてしまうのが嫌で、私は一之の胸に顔を寄せた。一之はそれに答えてくれて、ぎゅっと私を抱きしめた。
「亨さん…。俺じゃ駄目ですか?」
「…え?」
「その…布施さんのことなんて忘れさせてやります。」
真剣な一之の瞳に吸い込まれそうだった。私は一之に抱かれた時点で、一之を手放せなくなっていたんだ。けれどそれを一之に言うのは、何だか一之の思惑にはまってしまったみたいで…。
私は一之の薄く開いた唇に自分の唇を重ねてすぐに離し、一之の目を見てクスリと笑った。
「一之次第で…。」
「任せて下さい。どうせならもう一度…。」
一之は私の身体の上に覆い被さってきた。
会社は祝日で休み。私の甘い時間はこれから…。