憧れの向こう側<後編>
有本くんとの電車通学は、毎日にもかかわらず全然話題も尽きなくて、それは楽しいものになった。
おまけに…。
そう、あれほど俺の周りに張り付いていたイヤな視線やイヤな手が…ぱったりなくなったのだ。
これはもう、有本くんのおかげ以外の何ものでもないだろう。
そうして、快適で楽しい通学が続いて2週間ほど経ったとき。
「中久保くん、これ…」
朝の電車の中、ちょっと揺れると有本くんの胸にぶつかってしまう俺を何度となく支えてくれながら、彼はポケットから携帯電話をとりだした。
「携帯、持ってないよね?」
「あ、うん…。持ってない」
俺は、最近の高校生にしては珍しく携帯を持ってないんだ。
友達は持て持てってうるさいんだけど、だからこそイヤだったりして。
だって、親を通さないから、夜中でも平気でかけてくるヤツいるらしいし、それがイヤで電源切ってると、朝起きたら山のようにメールが入ってたりもするらしい。
そんなの結構煩わしいんだ、俺。
それよりも、友達とは顔を見て話したいし…。
「これがあれば、帰りに待ちぼうけとかしなくてすむ」
そう言って有本くんは、もうすでにストラップ(しかもス○ーピーだ)までついた真新しい携帯を俺の手に渡そうとする。
俺は有本くんが言おうとしてることに覚えがあった。
「…もしかして、一昨日のこと気にしてる?」
そう、一昨日の帰り道、有本くんはなかなか駅に現れず、俺は電車を10本見送った。
そんなに待たなくたって、適当なところで帰ってしまえばよかったんだけど、なんだかそれもできなくて…。
次は乗ってるかもしれない…と思うと、その場を離れられなくなったんだ。
結局11本目の電車で現れた彼は、俺の顔をホームに見つけるなり、蒼白な顔をして駆けてきたんだ。
「うん。もうあんな風に中久保くんを待たせたりするの絶対イヤだし」
「気にしなくっていいよ。学校ってところは予定外のこともいろいろ起こって当たり前だしさ。そん時は俺、適当に帰るから」
「ダメだっ」
その言葉は思わぬほど荒くて…。
「有本くん…?」
「あ…ごめん。でも、ホントにあの時、待っててくれて嬉しかったんだ…。きっと怒って帰っちゃったと思ってたから」
やだな。俺、そんなに心の狭い人間じゃないってば。
「大丈夫だよ、待ってるからさ」
それに、この携帯電話、最新型じゃんか。
俺、こんなの買えないし、基本料金とかだって母さん出してくれないだろうから、ただでさえ少ない小遣いがなくなっちゃうし。
でも、それを言うのはちょっと恥ずかしいので黙っておく。
「必要な時しかかけない。絶対迷惑かけないから。万一のお守りだと思って…」
「え、でも…」
なんとかご辞退申し上げようとした俺なんだけど、有本くんは俺の心の内を悟ったのか、にこっと笑って言った。
「これ、モニターでゲットしたんだ」
「へ?」
「うち、従兄弟の兄ちゃんが携帯のショップでバイトしてるんだ。それで、最新型のモニターにしてくれて」
「ホントに?」
あまりにうまい話で、ちょっと疑ってしまわないでもないんだけど…。
「うん。ペアで使えるんだ」
ぺ、ペア…?
「ほら、俺も」
そう言って有本くんが制服のポケットから出した携帯電話は、強引に俺の手に握らされたものと同じ型で、そのストラップはウッ○ストックだったり…。
「でも、モニターっていうからには何かしなきゃいけないんだろ?」
だいたい、アンケートとかあるよな。
「ううん、何にもいらない。その代わり…」
有本くんは言葉を切った。なんだか急に不安そうな顔をして…。
「その代わり、なに?」
「電話番号、他のヤツに教えないで欲しい」
………そっか。所有者は有本くんだもんな。
「うん」
俺が一言そう言うと、彼は一気に晴れやかな笑顔になった。
車内アナウンスが、俺の降りる駅を告げる。
「俺、学校出るときに必ず電話入れるから」
そういった有本くんの言葉が妙に照れくさくて、でも、嬉しくって、俺は自分の気持ちを持て余してしまう。
「うん。ありがと。じゃ、これしばらく借りるね」
ドアが開いた。
「また、帰りに」
その言葉は本当に俺たちの口から同時に出て、2人とも『ぷっ』っと吹き出したんだけど、笑い合う間もなく、俺は人の流れに押し出された。
改札を出て、定期を財布に戻した俺は、その手でポケットを探った。
ひんやりとして、手に慣れないものはさっき渡された携帯電話。
たくさんボタンがついてるけど、マニュアルも何もないから使い方がわからない。
でも、かかってきた電話をとるくらいのことはいくらなんでも出来るだろう。
けれど、俺から有本くんに連絡取ることは出来ないのかな…。
そう思って、ちょこちょこっとボタンを押してみた。
液晶画面に数字が現れた。
090で始まる11桁の数字。
どうやら入っているのはこれだけのようだ。
もしかして、これが有本くんのナンバーかな?
俺はふとかけてみたくなった衝動をグッと抑え、携帯電話をブレザーの内ポケットに移した。
友達に見つかりたくなかったから…。
放課後、帰り支度をしながら友達と喋っていた俺のブレザーの内側で、あのス○ーピーつき携帯電話が音もなく震えだした。
ちゃんと音も切ってあるらしい。
わけもなく『有本くんらしいや』と思って、知らず笑いが出る。
「なんだよ、理。一人でにやけやがって」
友達の一人がちょっかいをかけてきた。
でも、この電話、見つかるわけにいかないんだよね。
見つかったら最後、きっと番号教えろってうるさいに決まってるんだ。
「なんでもな〜い」
そう言って俺は教室を飛び出した。
3階の教室から、階段を駆け下りる。
そして、靴箱のところで物陰に身を潜めて電話をとりだした。
灯りがついた液晶画面には、たった一つ登録されていた、あの電話番号が表示されていた。
俺は、受話器のマークを押す。たったそれだけの行為が、なぜかとても気恥ずかしくて…。
「もしもし…?」
小さな声で出てみると、向こう側から俺の名を呼ぶ声が流れてきた。
『中久保くん?』
「うん」
向こう側の声はなんだかちょっぴり低くて大人びて聞こえた。
『俺、今から学校でるけど、時間大丈夫かな?』
「うん、大丈夫」
そういうと、向こう側の有本くんは緊張を解いたような声になる。
『じゃあ、ホームで』
「うん、ホームで」
ほんの少し間があって、電話が切れた。
今から駅へ向かっても少し待たなくちゃならないけど、そんなことかまわなかった。
なんだか、早く、少しでも早くホームへ行きたくて、俺の足はいつの間にか駆け足になっていた。
それから俺たちは、休日にも会うようになった。
映画に行ったり、本屋へ行ったり…そんな他愛もないことだけど、有本くんといるのが楽しくて、初めて会ってから1ヶ月があっと言う間に過ぎた。
そして何度目かの休日。
俺は誘われるままに、一駅向こうの有本くんのうちに遊びに行くことになったんだ。
俺の住んでるあたりは結構古くからの住宅地なんだけど、駅一つ向こうはまだ新しい街で、家並みもなんとなく統一感があって綺麗だ。
駅まで迎えに来てくれた有本くんと一緒に、静かな住宅地を抜けていく。
10分ほど歩いてたどり着いたうちは、まだ新しくて、玄関先に花なんかが植わっていて、なんだかホッとする感じだった。
「さ、どうぞ」
鍵を自分で開けて、有本くんは先に俺を中に通してくれる。
「お邪魔します…」
中もすごく綺麗にしてある。陽が射して明るい玄関。
「なんか…いい家だね」
吹き抜けを見上げながらそう言うと、彼は
「うん、まだ出来立てだから」という。
「建て直したの?」
「ううん、引っ越してきた」
…そういえば、俺、有本くんの出身中学とか何にも知らない。
いつも聞こうと思うんだけど、なんだか俺のことばっかり聞かれてしまって、いつも別れてから『しまった』って思うんだ。
「有本くん、中学どこ?」
やっと聞けた…。
でも、帰ってきた答えは俺の全然知らないところで…。
「どこ?それ」
そう聞く俺の手を、有本くんはいつの間にか取って、階段を上がり始める。
「あ、家の人に挨拶してないよ」
「ああ、今日誰もいないんだ。母さんも父さんも出掛けてて」
そんな時に上がり込んじゃっていいのかな?
考えてるうちに、二階のドアの前に来た。
「さ、入って」
ドアを大きく開けると、そこはかなり広く、落ち着いたベージュの壁紙の明るい部屋だった。男子高校生のものとは思えないほど整頓されていて…。
「うわぁ、綺麗にしてるんだ…」
そういうと、有本くんは照れくさそうに頭を掻いた。
「掃除したんだ、今朝。いつもはもっと散らかってるよ」
「なぁんだ」
俺が笑うと、彼も嬉しそうに笑う。
いつもと同じなんだけど、この部屋のせいか、昨日よりもっと親密に笑いあえたような気がして、俺はまた、何となく気恥ずかしくなる。
「座ってて。飲み物持ってくるから」
「うん、ありがと」
有本くんが出ていったあと、俺は座らずに大きな窓辺へ近寄った。
そして振り返って部屋を見渡す…。
そこで俺が感じたものは、不思議な既視感だった。
右手にベッド。足元に小さな硝子テーブルといくつかのクッション。ドアの横には大きな本棚。そして、左手には机…。
出来たばかりだというこの家に、どうしてだか俺はたまらなく懐かしさを感じているんだ・・・。
ふともう一度目を落とした机の上には、等綾院高校の生徒手帳が置いてある。
そういえば、俺、有本くんの名前…。
「お待たせ」
いっぱい物を乗せた盆を持って、有本くんが戻ってきた。
「どうしたの?」
「え…?」
「なんだか不思議そうな顔してた」
クスクス笑いながら有本くんは小さな硝子テーブルに盆を置く。
「そ、う…?」
「はい、のど湧いただろ?」
そう言って差し出されたグラスに入っているのは、ジンジャーエール。
グラスの外側を雫が伝って硝子テーブルに落ちる。
小さくできる、水たまり…。
不思議なことに、特にどうと言うことのない光景にすら、俺の既視感は続いていた。
「ジンジャーエール、好きだろ?」
「あ、うん。でも、どうして?」
確かに小学生の頃からこれが大好きなんだけど、そんなことは一言も言ったはずないし。
「だって、遊びに行ったとき、ファーストフードに入ったら必ずそれだからなぁ」
そうだっけ?そんなにファーストフードにお世話になってたっけ?
テーブルに釘付けになっていた目をふと上げると、有本くんは優しく微笑んでいた。
背が高くて、ハンサムで、優しくて、頭よくて…。
俺が『こうありたい』と願った憧れとも言える姿がそこにあった。
「中久保くん…?どうした?」
俺、この部屋に入ってから、なんだかボーッとしてる…。
せっかく遊びに来たのにこれじゃダメだよな…。
「あ、ううん、なんでもない。ごめん」
「変なの」
口ではそう言いながらも、彼の微笑みは優しいまま。
「有本くんってさ…かっこいいね…」
その言葉はなぜか自然に口をついて出た。
有本くんはちょっと目を丸くして、それからまた、さっきより優しい微笑みになった。
「俺、中久保くんの方がかっこいいと思うよ」
…はぁ?
「それ、笑えないよ…」
冗談にしてもほどがあるよ。
「んー、俺、マジで言ってるんだけど」
確かにその目にはからかいの色なんかないけれど…。
だからかな、俺は誰にも言ったことのない、俺の夢の話をしてしまっんだ。
混んだ電車の中で、初めて有本くんに出会うまで、毎日のように見た夢。
そして、有本くんに出会ってからはパッタリと訪れなくなった夢。
とても大切にしていた幼なじみとの想い出を…。
「俺…小さい頃はでかくて、誰よりも強かったから、このまま大きくなれると思ってたんだ…。なのに、実際の俺はこんなんで…」
そう言ってうなだれてると、いつの間にか有本くんが俺の正面から隣に移動してきた。
「中久保くんは、身体がデカイとかじゃなくても、十分強いんじゃないかな」
その言葉の意味を捉えきれずに、俺は座ってなお、俺より遥かにデカイ有本くんを見上げる。
「幼なじみを守っていた頃と、何も変わってないんじゃないかと思うよ。君の強さは」
「有本くん…」
気がつくと、彼の体温はすぐ側まで来ていて、掌の温もりがそっと肩に触れた。
「きっとそのおチビちゃんは今でも感謝してると思うよ。そして、君の強さに憧れている」
「俺の…強さ…?」
彼の瞳を探す…。それは、ほんのすぐ側にあった。
おでことおでこがコツンと合わさる。
「俺の、憧れの『なーちゃん』の、本当の強さは、優しさ、だから…」
・・・夢の続きに置き去りにされたような気がした。
唇にしっとりとしたものがそっと触れて…。
これは…なに?
ふと鼻先を掠めたのは、覚えのある甘酸っぱい香り。
これもまだ…夢の続き…?
『なーちゃん』
清文の可愛らしい声が、ふわふわした俺の頭の中を抜けていく。
「なーちゃん」
けれど、もう一度俺を呼んだそれは、清文の声じゃなくて…。
「ありもと…くん…?」
あんまりにも接近しすぎていて、彼の表情がわからない。
いつの間にか俺はギュッと抱きしめられていて、頬と頬がしっくりと触れあっていた。
やっぱりこれも、夢?
「やっと、なーちゃんの側に帰って来た…」
きよふみ…?
「きよふみ…」
心の中で呟いたことを、俺がそのまま言葉にしたとき、有本くんは、抱きしめていた俺の身体を離してそれは嬉しそうに微笑んだ。
「思い出してくれた?」
何を?
キョトンとしてしまった俺に、有本くんはひょいっと肩を竦めて立ち上がると、窓辺の机の上から生徒手帳を取り、器用に片手で表紙を繰った。
そして、まるで刑事役の俳優が『警察です』って言って、警察手帳を差し出すようなそぶりで俺の目の前に突きつけた。
そこにはやっぱりかっこいい有本くんの写真と、学年とクラスと出席番号。
その下には直筆であろう彼のフルネームが…。
『有本清文』
ありもときよふみ?
「きよふみ…?」
恐る恐る見上げると、有本くんはいたずらっ子の眼差しで見おろしていた。
「う、そ…」
嘘だ…。
「嘘じゃないって」
「だって!清文はちっこくて泣き虫で…」
そう言うと、有本くんはしようがないなとばかりに頭を掻いて、本棚からアルバムを取りだした。
「ほら。この3年間の俺の成長記録」
そこに並んでいるのは、誰かと違って、確実に成長を遂げていく男の子の姿だった。
そして、最初の頃の写真は確かに、俺の大切な友達だった『矢野清文』で…。
「俺、中1の間に10cm、中2で15cm、中3なんか夏休みで12cmも伸びちゃってさ。身体は痛いわ、母さんは「服がもったいない」って愚痴るわ、大変だったんだ。制服だって、2回も買い換えたの俺だけだったし」
う、羨ましいことこの上ないけど、でも疑問はまだ残る。
「でも、苗字が違う…どうして?」
答えはあっさり出た。
「今年の始めに母さんが再婚したんだ」
…なるほどね。
「新しい父さんは、母さんが離婚してからずっと支えてくれてた人で、俺も結構気に入ってたし、それに何より…」
有本くんは、アルバムを閉じてまた俺の隣に座り直した。
「ここへ引っ越すってのがわかったから、喜んで賛成してついてきた」
そしてまた、俺は肩に温かい掌を感じる。
「そうでなかったら一人暮らししてでも帰ってくるつもりだったけどな」
「どうして?」
「ん…。ずっと好きだった人の側へ、戻ってきたかったんだ」
………それって…。
「なーちゃんが華南学園に入学するって事を突き止めて、入学式の日からずっと電車で探してたんだ。…で、3週間目にやっと見つけたら…」
「………痴漢にあってったってこと?」
「まあね」
とほほ…。3年ぶりの再会に、俺はそんな情けない姿をさらしてたんだ…。
「どうしてすぐに教えてくれなかったんだ?」
そう、そこのところははっきりさせておきたいぞ。なにしろ1ヶ月も騙されていたことになるんだからな。
有本くん…清文はなんだか照れくさそうに鼻の頭を掻いた。
「だって…俺だっていいカッコしたかったし。それに、チビで泣き虫っていう先入観から離れてもらわないとなぁ」
先入観もへったくれも、この男前のどこにその頃の面影があるってんだよ。
「だから、なーちゃんが『今の俺』と仲良くなってくれたら、その時に言おうって決めてたんだ」
…それが今日ってわけか。でも…。
「ホント、詐欺だよな…。こんなにかっこよくなって戻ってくるなんて…」
昔の俺の立場はどうなるってんだ。
「俺、ホントにかっこいい?」
清文が目を輝かせて聞いてくる。
ちょっと、…ううん、思いっきり悔しいけど…。
「かっこいいよ。すっっごく」
わざとらしくアクセントをつけて言ってみたんだけど、そんなことにはかまわず、清文はまた俺をギュッと抱きしめてきた。
「なーちゃんに言ってもらえるのが一番嬉しい」
う…。心臓がバクバとうるさい。
すっぽりと腕の中に納まってしまう状況におろおろしていると、清文の唇が俺のそれに重なってきた。
おい…。これって…。
「ちょ、ちょっと」
俺はふんわりと触れているだけのそれから、慌てて顔を逸らした。
「なに?」
「俺……ファーストキスなんだけど…」
だー!何を間抜けなことをいってるんだ、俺ってば。そう言う問題じゃないだろう!
「嘘ばっかり」
「え?どうして?!」
「これ、セカンドキスだよ。ファーストキスは15分くらい前にすんだじゃないか」
な、なにー?!
「まさか、さっきの覚えてないとか…」
あ、あれは夢の中の事じゃ…。
「じゃ、ついでにサードキス」
はぁっ?
いきなり塞がれた唇に、今度は濡れた何かが触れてきて、俺は…そこで現実逃避をしてしまった…。
「清文―!ただいまー!」
ドアの向こうから聞こえたらしき声に、俺はぼんやりと目を開けたんだけど、よく見ると、俺は清文の膝の上に横抱きをされていた。
ど、どういうことだ…。
「なーちゃん…可愛い…」
クスッと笑いを漏らした清文には、これでもかというくらいの余裕の表情。
お前って…かっこよくなった代わりに性格悪くなったとか…?
焦る俺を、清文はポンっとベッドに降ろし、ドアを開けると、階下に向かって返事をする。
「おかえり!」
「お客様―?!」
階段の吹き抜けから飛んできた声は、3年前までしょっちゅう聞いていた人のもの。
そして俺はこのやり取りを聞いて、この部屋へ来てからの、あの既視感の訳に突き当たったんだ。
そう…。この部屋は…この家具の配置は、うちの5軒隣だった、チビで泣き虫の清文の部屋と一緒…!
「うん!今、行くから!」
清文は振り返ると一つ、ウィンクをした。
「母さん、驚くぞ」
「そっかな?わかるかな?」
何気なくそう言ったんだけど、清文は何故だか大笑いをした。
「絶対わかるって。だって…」
「だって?」
「なーちゃん、全然変わってないもん」
「あー!それを言うかー!」
ほとんどじゃれ合うように階段を下りていった俺たちを、清文のお母さんが驚いた目で迎えてくれた。
「理くん?!」
あー、やっぱり…。
俺の隣で、清文がまたしても大笑いを始めた。
ユエが『桃の国』様から77777HITした記念にリクエストした作品ですvv
凄い難しいリクエストだったにも関わらず、もも♪様〜素晴らしい作品ありがとうございます。
清文&なーちゃん、二人のラブラブな姿を見て、皆様萌え萌えして下さいましたか(笑)?
こんな感じの幼なじみって良いですよね〜。羨ましいvv
リクエストして、やっぱりユエは甘々が大好きなの〜って感じました(爆)