Under The Sun<後編>
学校の奴らがみんな下校していく中、浩之に逆らえない俺は、不機嫌ながらも委員長の待つ反省指導室のドアを開けた。
「ちゃんと来たんだね。じゃあ……そこのイスに座って。机の上に反省文用の原稿用紙が置いてあるから、最後まで書けたら渡してくれるかい?」
反省指導室とは名ばかりの部屋で、進路指導室みたいに活用されてないから4畳半ぐらいの小さな部屋なのだ。
しかも回りには全く使う気配のない社会科の地図とか立て掛けてある。
一体、何年前のものなんだか…。地図の内容変わってじゃないのか?
しかもこんな狭い部屋の中で、委員長と二人きりだなんて…眼鏡が写る…(んな訳ないか)…ガリ勉が写る…。
俺は委員長に分かるよう、あからさまに嫌そうな顔をしながら指定されたイスに座った。目の前には机の上に置かれた原稿用紙、ちょっと視線を上げると机を挟んで反対側のイスに座って俺の方を見ている委員長の姿。
渋々シャーペンを手に持ち、反省文にクラス・番号・名前を書き込んだ。
はぁ~、何書けば良いんだよ…。
別に俺は反省するようなことないんだけどなぁ。
髪の毛を真っ赤に染めて、授業を時たまサボるぐらい…ってそれが駄目なのか。
何か………委員長が目の前にいると、やりにくい。
あ゛―――っ、もう!!
30分ぐらい経ったのか、いつも働かさない頭を精一杯フル回転したものの、『反省の言葉』ってものが全く出てこない。
俺に反省しろってのが無理あるんだよなっ。
だって…考えた末に原稿用紙に書いたのが………。
『もう校門突破はしない。正々堂々と勝負する。』
我ながら思うが、これって反省文になるのか??
反省文ってゆーか、どう読んでも挑戦状のような…。
ほんっと………現国(現代国語)の成績が悪いだけあって、文章センスがない。
こればっかりは、どうしようもないしな~。
とりあえず、これ以上考えても無駄だと思った俺は、俺から視線を外して本を読んでいた委員長に、原稿用紙を裏向けて差し出した。
「反省文書いたから、俺帰る。」
委員長が俺の書いた反省文を読む前に、一刻も早くこの場から逃げ出さなければ、絶対『書き直せ』って言われるに決まってる。
そうなれば、俺……今日中に家に帰ることが出来ないかも。
2000文字だろ?1時間に2行として……50時間…うげっ2日と2時間?
あははははっ………俺、死んじまうかも………ってゆーか、何どうでも良いこと考えてんだ?俺…。頭働かしすぎて、ついに壊れ始めたか。
俺は壊れ始めた頭を抑えながら、席を立った。
逃げるようにドアに向おうと身体を90℃右に回した途端に、委員長に強い力で腕を掴まれる。
「確か反省文は2000文字って言ったはずだけど?一行しか書いてないってのは、どうゆうことかな?」
委員長の眼鏡の奥から見えるのは、俺を睨んでいる眼。
先ほどまでの穏やかな顔はどこへ行った、委員長。
反省しない生徒には、優しくしても無駄ってか?じゃあ、最初っから面倒見てくれなくても良かったのに…。
委員長の手を振り払おうとするが、どんなに振り回しても絶対に俺を掴む腕の力が弱くなることはなかった。
「全然反省していないみたいだから、違う罰を与えることにしようかな?」
「違う罰?一体何をするつもりなんだよっ。いくら罰を受けたからって、俺が真っ赤な髪の毛を黒染めすることもないし、授業をサボることをやめることもないからな!」
委員長に対抗しながらも俺は、『罰』という言葉を聞いて、どれくらい恐ろしいことをさせられるのかと内心ビビってたりする…。
もしかしてトイレ掃除、一週間とか…?
男子校のトイレだから、汚いんだよなぁ。
それともグラウンド30周とか…?
この学校のグラウンドやたらでかいんだけど。
いや……委員長のことだから、次のテスト全教科90点以上とか…?
ぜってー無理だ。俺の普段の平均赤点ギリギリの41点なんだぞ!
めくるめくる想像を浮かべていた俺は、委員長の罰に全く気付いていなかった。
.。・:*:・`☆、。・
『罰』は―――――委員長の『キス』だった。
ほんの唇をかすめるようなキスで、俺はどのくらい唖然としていただろう?
気がついたとき、目の前には少し口元を緩めた委員長の顔がドアップに写った。
言葉を発するまもなく、再び委員長の顔が近づいてきた。今度はかすめるようなキスではなく、ねっとりとした貪るようなキスで、俺はされながら『ファーストキスよグッバァイ』などとアホなことを考えていた。
委員長の舌が俺の口の中に入ってきたとき、俺の思考回路がショートしだして、委員長の身体を両手で突き飛ばしていた。
「うわああああぁぁぁぁぁ――――――!!!」
おっ…………おおおおおおっ………俺、俺、俺……今、キ…?
キッ…キキキキキ…………キスされたのかっ!?
いいい委員長にっ………?
お――おちつつつつ…けぇ。おちつつ…けぇ。おちつけぇ。おちつけぇ。
俺は心臓の動悸を治めるために、何度も深呼吸を繰り返した。
俺に突き飛ばされた委員長は、どこかにぶつかったのか背中を抑えながら顔をしかめている。いつもきちんとセンターわけにセットされた髪の毛が少し乱れて、いつも掛けている眼鏡も床に転がっていた。
「ごめん!!そんなに強く押したつもりはなかったんだけど…。委員長、大丈夫?」
俺が襲われたってゆーのに、何で俺が謝らなくちゃいけないんだ?
と思いながらも、つい条件反射で謝ってしまった。
「痛っ………、もう少し手加減ってものを知らない?ちっちゃいのくせに、馬鹿力。」
少し委員長の雰囲気が変わった気がするけど、気のせいか。
委員長が乱れた髪の毛を掻き分けて、いつものセンターわけの名残なんてどこにもなくなった。
眼鏡をしていない委員長は、普段からでは分からない切れ長の綺麗な眼をしていて、思わず俺は呟いていた。
「委員長、かっこえ―。ぜってー今の方が、男前。」
はっきり言って、委員長はかっこ良かった。
いつもは眼鏡とセンターわけで隠しているのが分かる。
俺は柄にもなく、キスをされたせいかもしれない……委員長にちょっぴりときめいたりしてしまっていた。
何でこんな奴に。俺の宿敵の委員長なのに。
それよりか委員長は男なのに!俺も男なのに!
何で俺は、男にキスなんかされて、ときめいたりしてるんだぁ―――!?
とんでもない事態に、俺の心臓はバックンバックンと鳴りつづけている。
固まっている俺にジワジワと近づいてくる委員長は、俺の様子を見て嬉しそうに微笑んでいる。悪どいことを考えているような、微笑みだった。
「海堂く……深貴(みたか)って呼んでも良い?深貴、僕にときめいただろ?」
「いっ、委員長、いきなり何言ってんだ?それにちょっと感じが…。」
ジワジワとよってくる委員長から逃げようと、俺は後ずさりを始めた。
「逃げるじゃない。僕は元からこんな感じだけど。普段はちょっぴり猫被ってるだけ。」
「俺にバラしても良いのかよ?委員長が実はこんな人でした。って言いふらすかも知れないんだぞ?」
「不良の深貴と、優等生の僕と、どっちの言う事を信じると思ってんだい?ほんとに馬鹿だね、深貴は。まっ、そんなところに惚れた僕も馬鹿なんだが…。」
「は?」
「は?じゃない。ちゃんと僕の言ったこと聞いてたのかい?僕は深貴が好きだ。深貴も、さっき僕にときめいてただろ?顔、赤くなってるし。」
委員長が俺のこと好きだぁ~?
今まで何度も風紀で捕まって、その度に冷ややかな目で俺を見ていた委員長が?
優しい言葉使いで、冷たい言葉を投げつけてくる委員長が?
しかもなんだよ、何で俺がときめいたことが分かるんだよ!
そうさ、俺は委員長にときめいたさ。かっこいいって…キスされても嫌じゃなかったって、ちょっと気持ち良かったなんて思ったりも……けれど、けれど…委員長なんて…。
「委員長なんて、嫌いだ。」
「そう。でも僕は好きだ。」
嫌いと言っても、委員長の顔は俺をことを見透かしたように笑っている。
「嫌いだって、言ってるだろ!」
「はいはい。」
「嫌いだ嫌いだ嫌いだ――――!」
「正直になったらいいのに…。」
委員長は叫ぶ俺を見ながら、何とも嬉しそうに笑っている。
そんな委員長が、ますます憎たらしかった。
一度でいいから、そんな委員長の顔を困らせてみたくなる。
「委員長なんて、大ッ嫌いだ――――!絶対、付き合ってやるもんか!!」
http://yue.s9.xrea.com/novel/under/sun_1.htm
こうなったら、とことん委員長と戦ってやる!!
どうでしたでしょうか?ユエは、こんなお話大好きですvv
リクリクしてくださったお方は淡雪ナイトさまで、リクリク内容が
『学園もので、『優等生攻め&不良受け』vvクールで余裕の優等生さん(でも怒らせると、めっちゃコワイ)と、ちょっと不良(でも密かなアイドル/笑)の受け君v』
だったのです…。しっかし、ユエ、全然リクに沿ってないや…。
()の部分が全く書けとらん。ゴメンなしゃい…。
ユエのお気に入りは、やっぱり不良の深貴(みたか)ちゃんvvだって、髪の毛が真っ赤なんて…絶対似合うと思う…vvL・O・V・E・ラブリー深貴vv(←壊れユエ)
ちなみに…題名の『Under The Sun』ってのは、『世界中で、この世で』って意味。
何の繋がりもありません(笑)なんとなく…。
>ユエの一人言<
実は…このリク主、淡雪さまから素敵な贈り物が…vv皆様、探しましょう♪
このページのどこかにあるはずです!見付からなくても怒っちゃだめよ~んvv くすっ。